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つくばファーマシューテイカルケア研究会
第8回 定例会報告

  • テーマヘルスカウンセリング
  • 日 時:平成 10年 5月14日(木) PM7:30〜9:30
  • 場 所:つくばカピオ 小会議室
  • ゲスト: 種村 閑 (ヘルスカンセリング学会茨城支部事務局)

はじめに 岡村祐聡 (当研究会スタッフ)

我々がケアすべき目的、もしくは医療の目的そのものとは何か?それは患者さんのQOLの向上です。ではQOLはどうすればわかるのでしょうか? 一般にQOLに関する書籍等でこれを数値化しようとする試みもあります。確かにこれも正しく大事な事だと思います。しかし、もっと根本的なこと、たとえば、患者さんが最後を迎える時、いかに満足した形で死を迎えることができるか。という視点でQOLをとらえる事が必要だと思います。

[服薬ケア]の考え方に、感情への着目がありますが、ヘルスカウセリングの基本もまた感情への着目が重要なポイントとなっています。QOLの向上は患者さん自身の心の満足度によるものと思います。ですから、外見的に行動の制約がある方でも、心の中が満たされればQOLは患者さんの中で成就していると言えるでしょう。 今の自分をありのままに受け入れ、自分を把握できるようになれば、やがて自分の生活を楽しむことができます。するとQOLはその到達点の方から患者さんに近づいてきてくれるでしょう。また、それぞれが自分に対してカウンセリングを行うことができれば満足度はさらに差がでてくるでしょう。これがポイントであり、そこまで考えていきたいものです。

医療者である我々の役割は、患者さんのQOLを向上させる(患者さんの理想と現実を近づける)お手伝いをすることです。そのためには、患者さんの目的地(QOL)を聴くこ とが必要であり、そのテクニックの1つとしてヘルスカウセリングが重要になってくるのだと思います。

ヘルスカウンセリングについて

種村 閑 (ヘルスカンセリング学会茨城支部事務局)

ヘルスカウンセリングを学ぶきっかけ
以前、薬の電話相談をやっていた頃「私の言っていることは、全然相手の欲している事ではない!?」ということに気づきました。これは、やり方が悪いんだろうと思いました。

患者さんの訴え(S)とは主観的なもの、かつ、私たちが聞けるもののすべてです。しかし、これだけ聞いても、なかなか上手くいきません。これには、質問の背後にある目的を聴く事が重要になってきます。(薬の副作用、効果を聞くことが相談者にとっての最終目的ではありません。)へルスカウンセリングを学ぶことにより、少なくとも以前より対応がスムーズにいくようになったと思います。

カウンセリングとは: 聴き方のテクニック

ヘルスカウンセリングの目指すもの

行動変容を支えるカウンセリング。わかっているけど出来ない、これを解決するのを手伝います。
Ex: 先生と名のつく人の前だと萎縮する。学校にいかなきゃ。と思うと腹痛が起きるなどの自分の癖。
人間は、心の背景に期待(よくなりたい、なんとかしたい等)があります。こういうものを手伝うのが、カウンセリングの基本的な考え方・方向性です。

業務でどう生かすか:患者さんの不安・不満・疑問などを受け止め、手伝ってあげてください。

ヘルスカウンセリングの基本的技法:

観察
人間は非言語的なコミュニケーションを使っていろんな情報を発信しています。
Ex) 声の抑揚、表情、ジェスチャー等
このような観点からよく患者さんを観察すると同時に、自分自身も同じく患者さんから観察されていることを意識します。(=ブロッキングを外す。)
傾聴
相手の話に集中すること。聞くことに集中します。
相手が助言を求めたときには、薬剤師としてガイダンスをします。つまり、聞くときは聞くことに集中し、話すときは話すと、きちんとわけて考えましょう。
確認
相手の言っていること、感情の確認。感情に着目して相手の言葉を繰り返します。
例えば、「わかった?」もしくは「わかりましたね?」という言い方は、自分が満足するための確認です。これはここで言う確認ではありません。確認とは相手が満足するものです。
 
 
共感
相手の言っていること、感情を自分なりにイメージしてその人になりきることです。多少オーバーでも問題ありません。本人にとってはわざとらしくは、映らないものです。
注意したい所は 共感と同感はイコールではないということです。同感とは自分の体験を思いだしているだけです。自分の過去の経験からくる理解のことです。つまり、今、目の前にいる患者さんの気持ちの理解ではありません。
Ex)同感の例
患者さん;「湿疹が、ばぁーと出たんですよ」
薬剤師;「前、そういう患者さん見ましたよ。つらいですよね」

 

カウンセリング的接し方

「開いた」質問を使ったほうがよいと思います。

しかし、「どうして〜?」 という言葉は咎められている気持ちになるので、あまりカウンセリングでは使わないほうがよいでしょう。「どうして薬飲まないんですか?」と言われば、何か言い訳を考えたくなります。また、「 〜してくださいね」という言葉も相手への気持ちの押し付けになるので使わないほうがよいでしょう。

 

どう活用するか

カウンセリングは患者さんから信頼されるための技術です。薬剤師はカウンセラーではないので、技法として使ってください。

 

ヘルスカウンセリングの学習方法

ベーシック(初級) 話のポイントをとらえる。
アドバンス(中級) カウンセリングの手順を覚え、感情の明確化ができ相手の心を癒す共感を成功させる。
マスター(上級) ヘルスカウンセリングの技法を使い、クライエントの隠された感情への気づきを助け自己解決の行動を支援できるようにする。

 

グループワーク

下記テーマで自由デイスカッションを行いました。

 

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