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つくばファーマシューテイカルケア研究会
第7回 定例会報告

  • テーマ:POSを始めよう!
    〜POSへの取り組み方、SOAPの練習の仕方〜
  • 日 時:平成10年2月11日(火)  PM7:30〜9:30
  • 場 所:つくばカピオ
  • 担当: 岡村 祐聡 (つくばファーマシューティカルケア研究会 運営スタッフ)

第20回 日本POS医療学会発表内容報告

本年3月に明石市において行われました、第20回日本POS医療学会に「服薬ケアとPOS(2)〜保険調剤薬局における医療を考える〜」と題した口演発表を行いました。その中でなぜPOSが有効であるかについての考察を行っておりますので、本日の内容に入る前に一通り発表内容を報告してみたいと思います。

内容は服薬ケア研究所にて公開していますので、そちらでご覧ください。

http://www.asahi-net.or.jp/~se3m-okmr/fukuyaku/98apos.htm

(リンクでは戻れませんので、戻るボタンで戻ってきてください。)
(スライドのバックに、画像を使用しているため、表示に時間がかかります。あしからず。)

I. POSとは・・・?

POSの考え方をWEED先生は、POSについて次のように著わされています。

Problem Oriented Systemとは、患者の持っている医療上の問題に焦点を合わせ、その問題を持つ患者の最高の扱い方(best patient care)を目指して努力する一連の作業システムである。

ここで大事なことは、「POSとは〜〜一連の作業システムである。」ということです。
つまり、@薬歴の書き方の決まりではない。ということが言えると思います。これは常に語られることではありますが、一番大切なポイントであると思います。

これを実際のケアの現場にあてはめて考えてみると、A患者さんとの対応すべてがPOSである。と言うことです。これは言い換えてみると、薬歴を書くときになって始めてPOSをやろうと思ってもだめ。と言えると思います。薬歴を書くときになって始めて「POS、POS」と言ってみても、SOAPがすらすら書けるようにはならないということです。

次にプロブレムについて考えてみるとBプロブレムはマイナスの問題点だけではない。ということが言えると思います。よくPOSについて、「マイナスの問題点しか取り上げることが出来ない。」というような議論を耳にしますが、それは間違いだと思います。プロブレムは、「自分が着目しているところ」といったくらいに意味に考えて良いと思います。

もう一つ大事なことは、C薬剤師は患者さんに対し、ケアをしているのか。ということです。自分がどんなケアを患者さんに提供していこうかということを考えたこともないのに、ただ薬歴だけをSOAPで書こうと思っても、それは無理というものです。まずは、自分の中にきちんとアセスメントできるだけの基礎概念が出来上がっていないと、POSどころか医療を行うことは出来ないでしょう。

 

グループワーク発表

課題
  1. プロブレムって何だと思いますか?
  2. 見出したプロブレムから、われわれ薬剤師は患者さんに対して何が出来るでしょうか?何をしていきたいですか?
  3. 何をすれば「ケアをした」と言えると思いますか?

 

グループ1

<薬剤師のケアについて>

グループ2

<プロブレムに何を挙げるか>

<POSについて>

グループ 3

<プロブレムとは?>

 

II. SOAPとは・・・?

それではお待ちかねのSOAPについてみていきましょう。まずはSOAP形式についてのまとめです。

《SOAP形式》

# 問題点(プロブレム) 薬剤師の立場から見出されるケアすべき点。着目点。
S (Subjective) 患者さんが直接提供する主観的な情報。
患者さんがお話くださった内容。
O (Objective) 客観的事実。薬剤師の目から見た患者さんの様子や、認識の状態。
A (Assessment) それらの情報・事実から導き出される評価、判断。
P (Plan) ケアの計画。あるいは実際に行ったケア。

これは、POSについて論じてある文章なら必ず出てくる表です。ただ、良く読んでみると、見慣れた表とちょっとニュアンスが違う感じがすると思います。それは、薬剤師がPOSをやっていく上で気をつけた方が良いことを考慮した上で、表現を少し変えてあるからです。

まずプロブレムについては、前にも触れた通り「ケアすべき着目点。」であるということです。消してマイナスのいわゆる「もんだいがある。」ことだけを取り上げるわけではありません。

そして、Oも少し注意が要ります。特に開局薬剤師の場合、よく聞く言葉に、「カルテが見れないし、検査値も知ることが出来ないから、Oが書けない。」というのがあります。この研究会でも何度も取り上げている話題ですが、私は検査値のみがOではないと考えています。薬剤師の立場から見た患者さんの客観的様子も、アセスメントしていく上で重要な判断材料になっていくはずです。その中でも大切なものに「薬識」があります。「薬識」を指標にしていくことで、患者さんのQOLの向上のために、薬剤師としてどんなことが出来るかを考えていくことが出来ます。(薬識については当研究会でも取り上げました。)

もう一つ、見慣れないのはPのところにある、「実際に行ったケア。」の部分だと思います。これは主に開局薬剤師がPOSに取り組むときに有効な考え方です。Pを書くときに最低限の約束事として、「書いたことは必ず実行されていること。」という原則があります。その考えに則っていった場合、患者さんがお帰りになった後に書く薬歴は、実際は瞬時に計画立ててその場で行ったことを、Pとして書いた方がうまくまとまります。なぜならば、次にその患者さんと会えるのは2週間先かもしくは1ヶ月先になります。薬識を指標とした場合、2週間も経っていれば、その患者さんの薬識は全く変わっているでしょう。今後の計画をPに書いても、その根拠となる薬識がすでに違うものになっているわけですから、いつまで経ってもその計画は実行されないままに終わってしまいます。したがって、その場での考え方をSOAPにまとめるという意味で、Pには「既に行ったこと」を書く方が現実的だと思います。

これと違って、薬剤師がその時に行ったことは、Oに書くという考え方もあります。これも非常に合理的な考えで、病院薬剤師の方が病棟業務で取り組むには良いやり方だと思います。

それでは全体的な考え方のポイントをいくつか取り上げてみましょう。

@SOAPの神髄はアセスメントにあり。→どんな医療を行おうとしているのか?
アセスメントには、その薬剤師がどんな医療を行おうとしているのかが端的に顕われます。したがって、書いた薬歴のアセスメント部分を見ていけば、その薬剤師がどんなことを考えているのかがわかります。つまり、POSに取り組むということは、医療に対する理念を問われることになるのです。もちろん、「しばらくすると言うことが無くなる」なんてことはないはずです。

Aプロブレムの取り上げる範囲の広さがポイント
この「プロブレムの範囲」というのが実際にPOSを使いこなしていく上で重要なポイントとなってきます。それは、

ということがあるからです。

そして、今日お話する「SOAP遊び」は、そのあたりのセンスを磨くための練
習にとっても役に立ちます。

SOAP遊び

さて、とっても残念ではありますが、実際に皆さんにSOAP遊びをやっていただくには時間が足りなくなってしまいました。本日は、レジメに用意してきた例題の解説だけをさせていただきます。

SOAP遊びとは、「日常の中のさまざまな出来事をSOAP形式で書き表してみて、SOAP分析の練習をする。」ことです。

この後、当研究会のホームページ上にある「薬剤師にPOSを!」の9章、10章から一部を抜粋して説明をいたしました。ここでは、より理解を深めるために、「薬剤師にPOSを!」を直接ご覧ください。

http://www.asahi-net.or.jp/~se3m-okmr/tpc/poscont.htm#CONTENTS

(リンクでは戻れませんので、戻るボタンで戻ってきてください。)

本日は、SOAP遊びが出来なかったので、また近いうちにチャンスを作って、取り上げてみたいテーマですね。ありがとうございました。

 

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